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メンタルヘルスに関する法律について知りたい

法令の紹介

○ 労働基準法

 労働者が「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができるように、使用者が守るべき最低限の基準を示したものが労働基準法です。労働条件について、賃金、労働時間、休日、休暇等に関する最低基準が定められています。労働基準法では、労使は、労働基準法で示された労働条件の基準を単に守るだけではなく、これを改善向上するように努めなければならないと定められています。(労働基準法第1条2項)

○ 労働安全衛生法

 メンタルヘルスの不調を未然に防止することを主な目的として、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行うストレスチェックの実施が、事業者に義務付けられています。事業者は、ストレスチェックにより高ストレス者とされた労働者の申出に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないとされています(労働安全衛生法第66条の10)。

 なお、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号、令和7年5月14日)が公布されました。ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている常用労働者数50人未満の事業場においても、ストレスチェックや高ストレス者への面接指導の実施が義務付けられました(施行は公布の日から3年以内の政令で定める日)。厚生労働省は小規模事業者が円滑に制度改正に対応できるよう、50人未満の事業場に即したストレスチェックの実施体制・実施手法についてのマニュアルの作成や、医師による高ストレス者への面接指導の受け皿となる地域産業保健センター(地さんぽ)の体制拡充などの支援を進める予定です。

 また、職場における治療と仕事の両立を促進するために必要な措置を講じることが事業者の努力義務となりました。また、国において、当該措置の適切かつ有効な実施を図るための指針を定めることとしており、事業者には、指針に基づいた取り組みを行っていただく必要があります(令和8年4月1日施行)。

コロナ禍以降、テレワークの活用が普及しましたが、厚生労働省は令和4年3月に「テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き」を公表しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000917259.pdf

 時間外・休日労働時間が1月あたり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者については、労働者からの申出があれば、医師による面接指導を行う必要があると定められています(労働安全衛生法第66条の8第1項。労働安全衛生規則第52条の2)。事業者は、面接指導を実施するため、客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません(労働安全衛生法第66条の8の3。労働安全衛生規則第52条の7の3第1項、第2項)。

○ 労働者災害補償保険法(労災保険)

 労働者災害補償保険法は、労働者が業務上の事由や通勤が原因で怪我をしたり、病気にかかったり、障害を負ったり、死亡したときなどに、国が事業主に代わって必要な給付等を行うこととしています。

 職場のストレス等による心理的負荷による精神障害に係る労災認定について、厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を策定しています。

○ 労働契約法

 労働契約法第5 条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」として、使用者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を定めています。
 労働者の利用する物的施設・機械、安全衛生を確保するための人的管理、労働者への健康配慮義務が含まれていると解されており、メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に含まれると解釈されています。

○ 過労死等防止対策推進法

 過労死等防止対策推進法は、過労死等の調査研究や防止のための対策を推進し、過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的としています。同法第6条に基づき、平成28年から毎年、過労死等防止対策白書が公表されています。また、令和6年8月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が改正されました。

○ 労働施策総合推進法

 事業主は、パワーハラスメント(職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの)によりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。また、ハラスメント相談等を理由とする労働者への不利益取扱いの禁止等も定められています。

 なお、労働施策総合推進法の改正により、カスタマーハラスメント(職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境を害すること)を防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります(施行日:公布日(令和7年6月11日)から1年6か月以内の政令で定める日)。また、東京都では「カスタマー・ハラスメント防止条例」が制定し、令和7年4月から施行しています。

○ 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)

 令和6年11月から施行されたフリーランス法では、発注事業者に対し、ハラスメント対策に係る体制整備義務が定められました(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第14条)。発注事業者は、ハラスメントによりフリーランスの就業環境を害することのないよう、相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければなりません。また、フリーランスがハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由として、不利益な取扱いをしてはならないと定められています。

指針等関連リンクの紹介