脳・心臓疾患の発症が長時間労働との関連性が強いとされていることから、労働安全衛生法第66条の8により、事業者には、医師による該当者への面接指導を行うことが義務付けられています。
事業者は長時間労働等の要件に該当する労働者の健康状態を把握し、適切な措置を講じなければなりません。
また、労災認定された自殺事案には長時間労働であったものも多いことから、この面接指導の際には、うつ病等のストレスが関係する精神疾患等の発症を予防するために、メンタルヘルス面にも配慮しましょう。
【対象】
すべての事業場
【概要】
事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。
(ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。)
⇒ 1か月の総労働時間数-(計算期間1か月間の総暦日数/7)×40
1か月の 総労働時間数 |
= | 労働時間数 (所定労働時間数) |
+ | 延長時間数 (時間外労働時間数) |
+ | 休日 労働時間数 |
※時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を決めて行わなければなりません。
(賃金締切日とする等)
事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。
また、事業者は、これらの方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければなりません。
(労働安全衛生法第66条の8の3、労働安全衛生規則第52条の7の3第1項、第2項)
事業者は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。(労働安全衛生規則第52条の2第3項)
なお、当該通知については、高度プロフェッショナル制度の対象労働者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者を含めた全ての労働者に適用されます。
労働者の申出については、労働安全衛生規則第52条の3において、下記のように定められています。
事業主は、面接が必要な労働者が確実に医師面接を申出られるような環境・体制を整備することが重要です。
例えば、申出のルールを策定することなどが挙げられます。
地域産業保健センターにおける面接指導等の相談窓口における運用について
これらはあくまでも例ですので、それぞれの職場に合った申出のルールを策定することが大切です。
面接指導を実施する医師としては、産業医、産業医の要件を備えた医師等、労働者の健康管理を行える医師が望ましいとされています。
また、面接指導の費用について、事業者が負担すべきものと考えてください。
下記は、実際の面接で使用される問診表と、自己チェック表です。
問診表(例)
「長時間労働者への面接指導チェックリスト(医師用)」P1~P8をご参照ください。
面接指導自己チェック票(例)
「長時間労働者への面接指導チェックリスト(医師用)」P9~P13をご参照ください。
事業者が、面接後にも実施しなければならないことがあります。
下記の事項にも配慮しましょう。
事業者は、面接指導を行う労働者以外の労働者であって、健康への配慮が必要な者(時間外・休日労働が1月あたり80時間を超える者等)についても、面接指導や面接指導に準ずる措置などを講ずるよう、努めなければなりません。 | |
⇒詳しくはこちら 厚生労働省パンフレット「過重労働による健康障害を防ぐために」
⇒詳しくはこちら 厚生労働省パンフレット『「産業医・産業保健機能」と
「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます』